こんにちは、そらいろドクターです。
前回の最初の投稿(【ブログ開設】医師8年目、オーストラリア臨床留学への挑戦が始まります)、お読みいただきありがとうございます。
さて今回は、予告通り留学準備の「最初の一歩」のお話です。「よし、オーストラリア留学について調べるぞ!」と意気込んだはいいものの、まず何から手をつければいいのか…?というのが正直なところでした。
調べていくうちに、日本のような海外で医学教育を受けた医師 (IMG – International Medical Graduates と呼ばれるようです) がオーストラリアで臨床医として働くためには、主に3つの道筋(Pathway)があることが分かりました。これが、正直ちょっとややこしい…! 今回は、私が現時点で理解している主な3つの道筋と、情報収集の段階で早くも感じた「壁」について、整理してみたいと思います。
(※以下の情報は私が調べた時点のものであり、制度は変更される可能性があります。正確な最新情報は必ずAHPRA公式サイトなどでご確認くださいね。)
まずは公式情報をチェック:AHPRAとIMG
オーストラリアの医師登録は、AHPRA (Australian Health Practitioner Regulation Agency) という機関が一括して管理しています。まずはここの公式サイトを見るのが基本中の基本。特に私たちのような海外医学部卒業生(IMG – International Medical Graduates)向けのページには、必要な情報が集約されています。
▶ AHPRA – International Medical Graduates: https://www.medicalboard.gov.au/Registration/International-Medical-Graduates.aspx
ただ、このサイト、情報が豊富なんですが、全部英語だし、制度自体が日本の感覚とは違う部分もあって、理解するのに結構時間がかかりました…。
日本人医師が主に検討する「3つの道(Pathway)」
AHPRAのサイトを読み解くと、IMG向けの登録経路(Pathway)がいくつかあることが分かります。色々ありますが、日本の医学部を卒業した私たちが主に検討することになるのは、以下の3つのようです。(※Competent Authority PathwayやTTMRAなどは、通常、日本で教育を受けた医師は対象外となります)
- Standard Pathway (標準経路): AMC試験を経て、監督下研修後に一般登録を目指す道。
- Specialist Pathway (専門医経路): 日本の専門医資格を評価してもらい、豪州専門医登録を目指す道。
- Short-term training pathway (短期研修経路): 短期研修目的で、事前に就職先が必要な道(限定登録)。
「じゃあ、自分はどれ?」となりますよね。
自分に合う道を見つけるヒント:AHPRAの自己診断ツール
そんな時に役立つのが、AHPRAが提供している自己診断ツールです。
▶ Registration self-assessment tool: (※上記AHPRAのIMGページ内にリンクがあります)
質問に答えていくと、自分がどのPathwayに該当する可能性があるか示してくれます。これは最初に試してみる価値ありです! 私もやってみて、自分の状況が少し整理できました。
複雑な経路選択を「フローチャート」で整理!(私見です)
それでも、全体像が掴みにくい…。そこで、私なりに理解した日本人IMGのPathway選択の考え方を、簡単なフローチャートにまとめてみました。

【フローチャートの見方(ポイント解説)】
この図はあくまで私なりの解釈を単純化したものですが、ポイントは以下の通りです。
- まず最初の大きな分かれ道は「日本の専門医資格を持っているか」(そして豪州で評価を受けたいか)。
- 「はい」の場合は、Specialist Pathwayが第一候補となります。ただし、専門医college(日本で言うところの学会)の評価は厳しいと言われており、結果によっては、Standard PathwayやShort-term Trainingも選択肢に入ってきます。
- 「いいえ」の場合は、基本的にはStandard Pathwayを目指すことになります。AMC試験の合格が大きなマイルストーンです。こちらの場合も、短期的な研修が目的ならShort-term Trainingが選択肢になります。
- そして、どの主要な経路を進むにしても、最終的な登録の前には「英語力の証明」が必要になる、という流れですね。
あくまでこれは私なりの解釈を単純化した図ですので、必ずAHPRAの公式情報やSelf-assessment toolでご自身の状況を確認してください。
私の場合、救急科専門医の資格と来年取得予定の集中治療専門医資格があるので、基本的にはSpecialist Pathwayを検討しつつ、と思っていましたが、前述の通りオーストラリアのcollegeの定める評価基準を満たすためには追加の研修や試験を受ける必要があるようでして、単純にこのPathway一択というわけではないようです。評価の不確実性を考えてStandard Pathwayの準備(AMC試験や英語)も並行して進める必要があるのかな…などと考えています。(このあたりも、今後の記事で深掘りしていきます)
各Pathwayの概要(再掲&補足)
フローチャートを踏まえ、改めて3つの主要Pathwayの概要です。
- Standard Pathway: 現地での研修(日本における初期臨床研修)を再度こなす必要があったりと時間はかかるが、一般登録(→専門医研修や永住権への道)に繋がる王道ルート。AMC試験が鍵。
- Specialist Pathway: 専門医持ちには魅力的だが、カレッジ評価という不確実性が伴うルート。
- Short-term training pathway: 目的が短期研修ならアリだが、事前ポジション確保(コネが必要とか・・・)が最難関のルート。
情報収集で直面した「リアルな壁」再び
こうして整理してみても、やはり最初の情報収集では苦労しました。
- 情報の複雑さと英語の壁: これは本当に痛感しますね…。
- Pathway選択の難しさ: どの道にもメリット・デメリットがあり、悩ましい。正しいPathwayに向かって適切な準備をしていくことが肝要。
- 費用の問題: 試験料、申請料、渡航費、生活費…そして我が家の住宅ローン!資金計画も大きな課題です。
これらの「壁」に具体的にどう向き合っていくかも、このブログで共有していきたいと思っています。
まとめ:地図を手に入れ、具体的な一歩へ
今回は、オーストラリア臨床留学への道筋(Pathway)について、私なりの情報整理とフローチャートを交えてお話ししました。
複雑な制度ですが、AHPRAの公式サイトやツールを活用し、自分に合った道筋のあたりをつけることが、具体的な準備への第一歩ですね。
そして、どの道に進むにも必要不可欠なのが…英語力。
次回はいよいよ、この大きな壁である「英語学習」について。私のリアルな実力と、これから始める独学計画についてお話しします。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント