はじめに:崖っぷちからの再スタート、本気の英語学習計画
こんにちは、そらいろドクターです。(はじめましての方、著者プロフィールはこちら)
4年後のオーストラリア臨床留学という目標を掲げ、このブログ『そらいろドクター奮闘記』をスタートしました。以前の記事では、留学への3つの主要なPathway(道筋)について調べて分かったことを解説しました。(その記事はこちら:オーストラリア医師登録の道は複雑?Pathway完全解説)
どの道を進むにしても、避けて通れないのが英語力の証明ということになりますが…。
私の現状はというと…以前のTOEIC模試(直前に2週間程度追い込み学習あり)の自己採点は700点レベルでしたが、これはリアルな数字である一方、スピーキングやライティング能力は含まれていません。そして恥を忍んで正直に告白しますと、約1年前の某オンライン英会話スクールの初回レッスンではCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)でA2+レベルと判定された過去があります。
A2+…!改めてこのレベルを調べてみると、英語学習ピラミッドの中では、かなり…その…基礎に近いところではありませんか。(汗)本当に恥ずかしいのですが、もうここまで来たら恥ずかしがっていても始まりませんし、このブログでは、こんな私の残念すぎる現状も含めて、赤裸々に全部さらけ出していくことに意味があると開き直ることも大切です。(そして自分に言い聞かせる)
特にリスニングとスピーキングは深刻な課題で、ネイティブの会話についていくのは極めて難しく、簡単な日常のやり取りですら自信を持って話すことができません。
このままでは目標達成は夢のまた夢。現状を打破し、留学への道を切り拓くために、本気で英語学習に向き合い、具体的な計画を立てて実行する必要があると痛感しました。
そこで今回は、私なりに情報収集を行い、また多くの先輩方が発信されている素晴らしいブログ記事や、英語学習の専門家の意見(例えばSOLOのルークさんなど)なども参考にさせていただきながら、現時点での私の英語学習計画、特に最初の半年間の基本方針と方向性を共有したいと思います。
具体的な目標設定:半年でIELTS OverAll 6.5、そしてその先へ
まずは目標設定です。これまで学生時代〜医師になってからも、大なり小なり数々の試験や目標に向けて計画を立て、情報を集め、実行するという経験を繰り返してきました。その経験で培った(と思いたい)リサーチ力や計画力を活かして、今回の英語学習についても、まずは具体的なマイルストーンを設定してみました。
最終的なゴールは、オーストラリアでの医師登録要件を満たすことです。これには、英語力の証明としてOET(Occupational English Test)またはIELTS Academicのスコアが必要となります。
【重要】Ahpra 最新の英語能力基準 (2025年3月~)
ここで、オーストラリアの医療従事者登録機関であるAhpraが定める英語能力基準について触れておきます。実は、私が調べ始めた当初参考にしていた情報から、基準が更新されていることが分かりました(2025年3月発効)。特に、以前は全セクションで同等の高いスコアが求められるイメージでしたが、最新の基準ではライティングのみ、他のセクションより少し低いスコアでも認められるように変更されています。これは大きな変更点ですね!
以下に、Ahpraの最新基準(2025年3月~)に基づくIELTS AcademicとOETの最低要求スコアをまとめます。
試験 | リスニング (L) | リーディング (R) | ライティング (W) | スピーキング (S) | 複数回受験の条件例 (12ヶ月以内最大2回) |
---|---|---|---|---|---|
IELTS (Academic) | 7.0 以上 | 7.0 以上 | 6.5 以上 | 7.0 以上 | ・各受験Overall 7.0以上 ・2回合計で上記スキル別スコア達成 ・2回のいずれのスキルも6.5未満なし |
OET | B 以上 | B 以上 | C+ 以上 | B 以上 | ・各受験で全4スキル受験 ・2回合計で上記スキル別スコア達成 ・2回のいずれのスキルもC+未満なし |
出典: Ahpra – Registration standard – English language skills (Effective date: March 2025). 詳細は必ず公式文書をご確認ください。
この最新基準を踏まえると、私の最終的なゴールは、OETで L/R/S が B、W が C+ を取得すること、または IELTS Academicで L/R/S が 7.0、W が 6.5 を取得することになります。(もちろん、全セクションで高いスコアを目指すに越したことはありません!)
これは依然として非常に高い目標であり、おそらく2年以上の継続的な努力が必要になると覚悟しています。(OETとIELTSどちらを選ぶか、という点についても、今後詳しく調べて記事にする予定です。)
最初のマイルストーン:半年後の目標
その長い道のりの最初の大きな一歩として、半年後(2025年10月まで)にIELTS Academic OverAll 6.5を達成することを、具体的な短期目標と定めました。
目標達成への高い壁と”奮闘記”である理由
ここで少し現実的な話を。一般的に、語学力の指標であるCEFRレベルを1段階上げるには、指導のある環境でも約200時間程度の学習が必要と言われています。以下の表は、CEFRとIELTS/OETのスコア、そして必要学習時間の目安を示したものです。
CEFRレベル | レベル説明 | IELTS Band (目安) | OET Grade (目安) | 指導付き学習時間目安 (累積)¹ | 次のレベルまで (目安)¹ |
---|---|---|---|---|---|
A1 | Beginner | – | – (E) | 約 70~100時間 | 約 100~150時間 |
A2 | Elementary | ~ 3.5 程度 | D | 約 180~250時間 | 約 150~200時間 |
B1 | Intermediate | 4.0 ~ 5.0 | C | 約 350~450時間 | 約 150~200時間 |
B2 | Upper Int. | 5.5 ~ 6.5 | C+ | 約 500~650時間 | 約 150~200時間 |
C1 | Advanced | 7.0 ~ 8.0 | B | 約 700~850時間 | 約 200時間~ |
C2 | Proficiency | 8.5 ~ 9.0 | A | 約 1000時間~ | – |
表の注釈: ¹学習時間は指導付きの場合の目安であり、個人差が非常に大きいため参考値です。(参照: Cambridge Assessment English 等)
私のスタート地点(A2+レベル)から考えると、半年(約26週)でB2レベル後半(IELTS 6.5相当)に到達するには、推奨される週あたりの学習時間(B2到達には週15~20時間程度とも)を確保し、かつ非常に効率的な学習を行う必要があります。
日々の業務、専門医試験勉強、研究、家庭との両立を考えると、これは正直、かなり高い壁であることは自覚しています。(それでも、日々の臨床から得た気づきは、以前書いたeuDKAの記事のように発信し、少しでも誰かの役に立てれば、そして自身のモチベーションに繋がればと思っています。)
世の中には、想像もつかないような努力をされて目標を達成される方もいらっしゃり、本当に尊敬します。一方、私は自称の通り平凡な医師ですので、まずはこの(それでも相当に高いと感じる)目標を掲げ、試行錯誤しながら泥臭く努力する過程、まさにその「奮闘記」を記録し、共有していきたいと思っています。
そして、多くの先輩方の知見も参考に、まずはReadingとListeningの基礎固め(特にIELTSでR7.0/L6.0を意識できるレベル)を優先的に行い、英語力の底上げを図ることにしました。これが達成できれば、その後のOET対策へもスムーズに移行できるのではないか、と考えています。
どんな力をつけたいか(目標スキル像:より具体的に)
では、この半年間で具体的にどのような英語力を身につけることを目指すのか? 一般的な英語レベル指標(CEFRのCan-Doリストなど¹)やIELTSのバンドスコア記述²、そして自身の医師としての業務内容や達成したい目標を照らし合わせて、現時点での具体的なイメージを作ってみました。
領域 | 6ヶ月後の到達目標レベル(目安) | 具体的な到達イメージ |
---|---|---|
リスニング | CEFR B2 / IELTS 6.0 レベル | ・海外の医師が話すカンファレンスやレクチャーで、専門用語に多少戸惑いつつも内容の要点や議論の流れを掴み、ついていけるレベル。 ・日常会話や興味のある分野のPodcastも、以前よりストレスなく楽しめる。 |
スピーキング | CEFR B1+ ~ B2 / IELTS 6.0 レベル | ・患者さんへの基本的な病状説明や、海外医師との簡単なケースディスカッションで、完璧ではなくても自分の考えの骨子を伝え、基本的な質疑応答ができるレベル。 ・躊躇せずに話し始められる場面が増える。 |
リーディング | CEFR C1 / IELTS 7.0 レベル | ・医学論文のAbstractや、自身の関心分野の論文本文を読み、研究の背景・目的・結論といった重要な情報を効率的に把握できる。 ・IELTS Academicの長文を時間内に読み、設問に解答するための基礎的な読解力と速度を身につけている。 |
ライティング | CEFR B1+ レベル | ・簡単なEメールや、日々の学習記録などを、基本的な文法やスペルの大きな誤りなく書ける。 ・IELTS Task 1(図表描写)、Task 2(意見陳述)の基本的な構成や書き方を理解している。 |
語彙 | IELTS 6.5-7.0 対応レベル | ・IELTSで求められる一般・学術語彙(約3000語目安)の多くを認識し、文脈の中で意味を推測できる。 ・自身の専門分野に加え、幅広い分野に対応できる基本的な医学共通語彙もバランス良く習得。 |
文法 | B2レベル運用基礎 | ・高校レベルまでの基本的な文法事項(時制、文型、接続詞、関係詞など)を理解しており、スピーキングやライティングで大きな破綻なく運用できる。複雑な構文も、時間をかければある程度理解できる。 |
表の補足: CEFRのレベル別能力記述例はCouncil of Europeのサイト等で確認できます。 IELTSのバンドスコア別能力記述はIELTS公式サイト等で確認できます。
この半年間でこれらのスキルを身につけることが、その先の最終目標への、そして実際の臨床現場や研究活動で英語を自信を持って使うための、重要な基盤になると考えています。
学習計画の基本方針:多忙な医師の「現実的」戦略
- 優先順位: リスニングとスピーキングの基礎力向上を最優先と考えます。同時に、目標達成に不可欠なリーディング力(精読、スキャニング等)と語彙力も計画的に強化していく方針です。
- 効率性: スキマ時間(通勤、休憩中、業務の待機時間など)を徹底的に活用することは必須です。とにかく短時間でも効果が見込める学習方法を模索・実践していきたいと思います。
- 柔軟性: 毎日のタスクに縛られすぎず、週単位・月単位で進捗を管理し、仕事や家庭の状況に合わせて柔軟に調整できる計画を目指していきます。「計画通りにいかなくてもOK」という気持ちで、まずは継続を重視したいと思います。
- 持続可能性: 健康第一。無理なく続けられる学習習慣を確立することが急務です。モチベーションの鍵となる「実力アップの実感」を得られる工夫を取り入れていきたいと思います。(と、早速これらの記事を書きつつ風邪を引き、数日寝込んでしまいました…。)
具体的な学習方法の模索(最初の半年の方向性)
では、具体的にどうやって学習を進めるか?正直なところ、最適な方法はまだ手探り状態です。
まずは語彙から:
何をするにも語彙力は必須と考え、最初に語彙力強化に着手します。以前購入した「実践IELTS英単語3500」をabceedアプリ版がありますのでそれを活用し、まずはこれを地道に進めていく予定です。
スキル別アプローチ(これから模索):
その上で、リスニング、スピーキング、リーディングの力を伸ばすために、シャドーイング、ディクテーション、多読、精読、瞬間英作文など、様々な学習法をこれから実際に試しながら、自分に合った効果的な学習習慣・プロセスを確立していきたいと考えています。IELTSをこの半年で本気でスコアを狙うのであれば、まずは公式問題集を購入してその傾向と対策から始めるのかな〜と思っています。当面の間は、この試行錯誤の過程そのものが、この「奮闘記」の主要なコンテンツになるかもしれません。
オンライン英会話:
スピーキング力強化のためにはアウトプットが不可欠です。過去に短期間(約1年前、2-3ヶ月程度)試した経験を踏まえ(その時はとにかく受講することが目的になってしまって消化しきれず、本末転倒でした…)、今後、学習がある程度進んだ適切なタイミングで、自分に合う形で再度オンライン英会話を取り入れる予定です。
学習プロセスも発信していきます
このブログやX(Twitter)では、この計画の実行過程、日々の試行錯誤、効果があった(あるいはなかった)学習法や教材について、リアルな奮闘記として共有していきたいと思っています。
その発信が、同じように目標に向かって頑張っている方々の、何かのヒントや励みになれば、これほど嬉しいことはありません。
おわりに:まずは一歩を踏み出す!
計画はあくまで現時点での道しるべ。どんなに詳細な計画を立てても、実行しなければ意味がありません。重要なのは「とにかく始めること」そして「自分なりの学習プロセスを確立し、継続すること」だと考えています。
半年後の目標は高く、道は険しいですが、まずは今日から、できることから一歩を踏み出します。
このブログを読んでくださっている皆さん、特に英語学習や留学、専門医試験、そして家庭との両立に奮闘されている仲間たちからの応援やアドバイスは、本当に力になります。
ぜひコメントやXなどで、皆さんの経験やご意見もお聞かせください!一緒に頑張りましょう。
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