血液ガスの勉強は何から始める?おすすめ本・参考書ロードマップ【初期研修医・ER/ICU向け】

血液ガス分析の結果表や学習ステップを見ながら、医師が血液ガスの勉強方法を考えている医療教育イラスト ICU・ER実践ノート
  1. はじめに
  2. まずは自分の現在地を確認する
  3. 血液ガスが苦手な人への入門書
    1. 世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
    2. Dr.大塚の血液ガスのなぜ?がわかる
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
    3. Dr.大塚式4ステップ診断法でマスターする 血液ガスドリル
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
  4. 医学生・初期研修医・若手医師の王道
    1. 竜馬先生の血液ガス白熱講義150分
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
    2. 帰ってきた 竜馬先生の血液ガス白熱講義22問
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
  5. ERで血ガスを“初期対応の武器”にしたい人へ
    1. POCTハンター 血ガス・電解質・Cr・hCG×非専門医
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
  6. 症例で酸塩基平衡と電解質まで鍛えたい人へ
    1. 血液ガス・酸塩基平衡に強くなる
      1. この本の特徴
      2. この本が合いやすい人
  7. ICUで酸塩基平衡・電解質異常を本気で深めたい人へ
    1. INTENSIVIST 2025年1号:酸塩基平衡,電解質異常に挑む
      1. この教材の特徴
      2. この教材が合いやすい人
  8. YouTubeで血液ガスを学ぶなら、この3つがオススメ
    1. 呼吸器ドクターひつじ先生|新人ナースでも読める血液ガスの解説動画
      1. この動画の特徴
      2. この動画が合いやすい人
    2. 血液ガス分析 マスター講座
      1. この動画シリーズの特徴
      2. この動画シリーズが合いやすい人
    3. 腎臓内科医が解説|血液ガス分析の解釈をマスターしよう
      1. この動画の特徴
      2. この動画が合いやすい人
    4. YouTubeは「分かった気」で終わらせない
  9. 結局、どれを買えばよいか
    1. 血液ガスが本当に苦手な人
    2. 理屈から納得したい人
    3. 一人で問題を解きながら定着させたいなら
    4. 初期研修医・若手医師が最初の1冊を選ぶなら
    5. 問題演習で一段深めたいなら
    6. ERで血ガスを初期対応に使いたいなら
    7. 症例で酸塩基平衡と電解質まで鍛えたいなら
    8. ICUで本気で深めたいなら
    9. 動画で最初のイメージをつかみたいなら
  10. 血液ガスの学び方:おすすめの順番
  11. このブログで補っていきたいところ
  12. まとめ

はじめに

pH、PaCO₂、HCO₃⁻、BE、乳酸、PaO₂、SaO₂、アニオンギャップ、代償式。

「聞いたことはあるけど自信を持って説明できない」という方も少なくないのではないでしょうか?

初期研修医
初期研修医

血液ガスを勉強したいけど、何から始めれば良いですか?

今回はそんな方々のために、救急・集中治療の現場で働く私そらいろドクターが実際に読んでみて本当におすすめできると思った「血液ガスを効率よく勉強できる本・参考書やyoutube教材」を紹介します。

血液ガスは、単なる検査値ではなく、患者さんの呼吸、循環、代謝、腎臓、電解質、治療反応が一枚に重なって見える検査です。

いきなり全部を理解しようとすると、正直かなりしんどいです。

だからこそ、最初から難しい理論に突っ込むよりも、まずは「どういう順番で見るか」「どの教材で何を学ぶか」を整理しておくことが大切です。

この記事の結論

血液ガスの勉強は、いきなり分厚い本や難しい酸塩基平衡の理論から始めなくて大丈夫です。

大切なのは、今の自分のレベルと悩みに合った教材を選ぶことです。

この記事では、以下のような方々が何から始めればよいのか、具体的に解説しています。

  • 血液ガスがとにかく苦手で、基礎から学びたい
  • 初期研修医・若手医師のER/ICUローテ前の最初の1冊を選びたい
  • 血液ガスの「なぜそうなるのか」を理屈から理解したい
  • 症例問題を通して、酸塩基平衡を実際に読めるようになりたい
  • ERで血ガス・電解質・Cr・hCGをPOCTとして使いこなしたい
  • 救急・集中治療医として、電解質・輸液・酸塩基平衡まで深く学びたい
  • YouTubeも使って、初歩から体系的に復習したい

それぞれの教材には役割があります。

この記事では、「どの本や動画が良いか」だけでなく、どんな人が、どの順番で使うと学びやすいかまで整理していきます。

まずは自分の現在地を確認する

血液ガスの参考書を選ぶ前に、まず自分がどこで困っているのかを確認してみてください。

  1. 血液ガスの数字に苦手意識がある
    pH、PaCO₂、HCO₃⁻、BE、乳酸などの意味を、まずざっくりつかむ段階です。
  2. 血液ガスを順番に読めるようになりたい
    pHを見る、PaCO₂を見る、HCO₃⁻を見る、乳酸を見る、酸素化を見る、患者に戻る、という型を作る段階です。
  3. なぜそうなるのかを理解したい
    酸素化と換気の違い、代謝性・呼吸性の考え方、代償の意味を理屈でつなげる段階です。
  4. 症例でトレーニングしたい
    代謝性アシドーシス、呼吸性アシドーシス、アルカローシス、混合性障害を、実際の症例で読む段階です。
  5. ERで初期対応に使いたい
    来院直後の血ガス、乳酸、電解質、Cr、hCGなどを、初期判断にどうつなげるかを学ぶ段階です。
  6. ICUで酸塩基・電解質を深く考えたい
    Na、K、Cl、Alb、腎不全、輸液、人工呼吸器、Stewart法、補正治療まで含めて考える段階です。

この現在地によって、選ぶべき本は変わります。

まず基本の型を確認したい方へ

血液ガスの読み方そのものがまだ不安な方は、まずこちらの記事で「pH、PaCO₂、HCO₃⁻の意義、そしてどの順番で見るか」を確認しておくことをオススメします。全体像を理解することで、この後の参考書選びがしやすくなります。

血液ガスが苦手な人への入門書

世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本

血液ガスに苦手意識がある人の入口として、まず候補になるのが、古川力丸先生の『世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本』です。

この本を読んでまず感じるのは、血液ガスを「難しいもの」として構えさせない工夫が随所に見られることです。

血液ガスの勉強は、少し気を抜くとすぐに酸塩基平衡、代償式、アニオンギャップ、Stewart法へ進んでしまいます。(笑)

もちろん、それらは大切なので、最終的にはしっかりと学習すると良いでしょう。

ただ、初学者にとって最初に必要なのは、「血ガスを極める」ことではありません。

まずは、血ガスを見た瞬間に固まらないこと。

pHを見て、PaCO₂を見て、HCO₃⁻を見て、酸素化を見て、何が起きていそうかをざっくり言えるようになること。

この本は、その最初の壁を越えるためにかなり相性がよいです。

タイトルはかなりやさしそうですが、内容は単なる“やさしいだけの本”ではありません。

血液ガスを分類して終わりではなく、原因検索と対応につなげる意識があります。

つまり、「この血ガスは何型か?」で止まらず、「では、この患者さんに何が起きていて、次に何をするのか?」へ進むための入口になります。

この本の特徴

  • 血液ガスへの苦手意識を下げてくれる入門本です。
  • 3ステップ法で、酸素化・換気・酸塩基平衡を順番に整理できます。
  • 分類だけでなく、原因検索と対応まで意識できる構成です。

この本が合いやすい人

  • 血ガスを見ると、どこから読めばよいか分からなくなる人。
  • 看護師、初期研修医、ER/ICUローテ前の医療者。
  • 難しい理論より、まず現場で使える入口を作りたい人。
そらいろメモ

血液ガスが苦手な人に、いきなり分厚い酸塩基平衡の本をすすめると、途中で止まりやすいです。

まずはこのような本で、「血ガスは順番に見れば読める」という感覚を作るのが大事だと思います。

Dr.大塚の血液ガスのなぜ?がわかる

血液ガスを「なぜそう読むのか」から理解したい人には、大塚将秀先生の『Dr.大塚の血液ガスのなぜ?がわかる』が候補になります。

この本の良さは、ズバリ血液ガスをただのパターン暗記にしないところです。

血ガスは、ある程度まではパターンで読めます。

pHが低いからアシデミア。

PaCO₂が高ければ呼吸性アシドーシス。

HCO₃⁻が低ければ代謝性アシドーシス。

ここまでは、パターン暗記で比較的早く覚えられます。

でも、実際の患者さんでは、そこから先が難しいと感じる方も多いのでは?

なぜこの患者さんではPaCO₂がここまで下がっているのか。なぜHCO₃⁻が下がっているのか。

酸素化が悪いことと、換気が悪いことは何が違うのか。

代償しているとは、結局どういうことなのか。

この本は、そうした「なぜ?」を一つずつほどいてくれる本です。

血液ガスを“雰囲気で読む”段階から、“理由を説明しながら読む”段階に進みたい人には、かなり相性がよいと思います。

この本の特徴

  • 血液ガスの基礎から酸素化、酸素療法、酸塩基平衡診断まで扱っています。
  • 「酸素化」「換気」「酸塩基平衡」を分けて整理できます。
  • 練習問題もあり、読みっぱなしで終わりにくい構成です。

この本が合いやすい人

  • 血液ガスを一度勉強したけれど、よく分からないままの人。
  • 酸素化と換気の違いをきちんと理解したい人。
  • 暗記ではなく、納得しながら酸塩基平衡を学びたい人。
POINT

「読み方の型」を作る本と、「なぜそう読むのか」を理解する本は、役割が違います。

血ガスが苦手な人は、まず入門本で苦手意識を減らし、その後にこの本で理屈を補強する流れがよいと思います。

Dr.大塚式4ステップ診断法でマスターする 血液ガスドリル

『Dr.大塚式4ステップ診断法でマスターする 血液ガスドリル』は、同じ大塚先生による、血液ガスのドリル形式の教材です。

この本は、酸塩基平衡を深く語り込む本というより、初学者が一人で血液ガスを読む練習をするための本です。

読んでいて特に良いと感じたのは、問題に対する解説の丁寧さです。

単に「正解はこれです」「理由はこれです」で終わるのではなく、間違えた場合にも、どこまでは考えられていて、どこの判断でずれたのかが分かるように書かれています。

血液ガスの勉強でつまずく人は、たいてい全部が分かっていないわけではありません。

pHは見られている。PaCO₂も何となく見られている。

でも、HCO₃⁻との関係や代償の判断、酸素化と換気の切り分けで迷う。

あるいは、途中までは合っているのに、最後の病態判断でずれる。

この本は、その「どこで考え違いをしたのか」を拾い上げてくれます。

一方で、すでに血液ガスをそれなりに勉強している人には、物足りない部分もあります。

複雑な混合性酸塩基平衡障害や、ICUでの電解質・輸液・腎機能まで絡めた深い議論を期待すると、この本だけでは足りません。

ただ、それは欠点というより、役割の違いです。

この本は、血液ガス中級者・上級者が読む本というより、初学者が読み方の型を一人で定着させるためのドリルです。

この本の特徴

  • Dr.大塚式4ステップ診断法で、血液ガスを順番に考える練習ができます。
  • 穴埋め式の問題と丁寧な解説で、初学者が一人でも進めやすい構成です。
  • 間違えたときに、どこまで分かっていて、どこで判断がずれたのかを確認しやすい本です。

この本が合いやすい人

  • 血液ガスを学び始めた初学者。
  • 講義本を読んだあと、一人で問題を解いて定着させたい人。
  • 初期研修医、看護師、医学生など、血ガスの読み方を基礎から確認したい人。
そらいろメモ

この本は、血液ガスをある程度読める人が深掘りする本というより、初学者が「自分はどこで間違えたのか」を確認するための本だと思います。

血ガスが苦手な後輩や、ER/ICUローテ前の初期研修医に渡すなら、かなり使いやすい一冊です。

ここに注意!

すでに血液ガスや酸塩基平衡をかなり勉強している人には、やや物足りなく感じる可能性があります。

その場合は、この本を復習用・教育用として使い、さらに深めるなら『血液ガス・酸塩基平衡に強くなる』や『INTENSIVIST』へ進むのがよいと思います。

医学生・初期研修医・若手医師の王道

竜馬先生の血液ガス白熱講義150分

医学生から初期研修医、若手医師にとって、かなり有力な導入本になるのが、田中竜馬先生の『竜馬先生の血液ガス白熱講義150分』です。

この本を読んで感じるのは、「血ガスを勉強している」というより、「講義を受けながら、血ガスの見方が少しずつ整理されていく」感覚です。

血液ガスは、教科書的に読もうとすると、すぐに記号と式が前面に出てきます。

pH、PaCO₂、HCO₃⁻、代償、AG、A-aDO₂。

どれも大切ですが、初期研修医の段階では、まず「実際の患者さんを前にして、血ガスをどう見るのか」を知りたいはずです。

この本は、そのニーズにかなり合っています。

講義形式なのでテンポがよく、短時間で血液ガスの全体像をつかみやすい。

それでいて、単なる丸暗記ではなく、呼吸状態、意識障害、酸塩基平衡異常など、臨床場面とつながる形で学べます。

「とりあえず血ガスの本を1冊読むなら?」と聞かれたとき、初期研修医・若手医師にはかなりすすめやすい一冊です。

この本の特徴

  • 講義形式でテンポよく読める、血液ガスの王道導入本です。
  • 呼吸状態、意識障害、酸塩基平衡異常を臨床場面と結びつけて学べます。
  • 短時間で血ガスの全体像をつかみやすい構成です。

この本が合いやすい人

  • 初期研修医、ER/ICUローテ前の若手医師。
  • まず1冊で血ガスの基本と正しい使い方を押さえたい人。
  • 講義形式の読みやすい本で、短時間に全体像をつかみたい人。
そらいろメモ

研修医に血液ガスの本を1冊すすめるなら、この本はかなり候補に入ります。

理由は、読み切りやすいこと、講義形式で入りやすいこと、そして“血ガスを臨床で使う”という方向に自然に意識が向くことです。

帰ってきた 竜馬先生の血液ガス白熱講義22問

『帰ってきた 竜馬先生の血液ガス白熱講義22問』は、『竜馬先生の血液ガス白熱講義150分』の次に読む本として相性がよい一冊です。

150分の本を読むと、血液ガスの見方がかなり整理されます。

ただ、血ガスは「分かった気がする」と「実際に読める」の間に、けっこう距離があります。

講義を読んでいるときは分かる。

でも、いざ症例として提示されると、どこから考えるのか迷う。

pHから見るのか、PaCO₂から見るのか、HCO₃⁻から見るのか。

代償は合っているのか。

混合性障害はないのか。

その「実際に手を動かす部分」を補ってくれるのが、この22問です。

個人的には、この本は“血ガスの理解を確認する本”というより、“血ガスを自分の頭で読む練習をする本”として使うのがよいと思います。

この本の特徴

  • 前作で作った血ガスの型を、問題演習で確認できます。
  • 22問という分量で、無理なく症例ベースの練習ができます。
  • 講義で分かった内容を、自分で読める力に変えるための本です。

この本が合いやすい人

  • 『竜馬先生の血液ガス白熱講義150分』を読んだ人。
  • 血液ガスを症例形式で考える練習がしたい人。
  • 血ガスに少し慣れてきたが、まだ自信がない人。
POINT

血液ガスは、講義本だけでは定着しにくいです。

1冊目で型を作り、2冊目で症例・問題を解く。この順番が、かなり効率的です。

ERで血ガスを“初期対応の武器”にしたい人へ

POCTハンター 血ガス・電解質・Cr・hCG×非専門医

ERで血液ガスを実際にどう使うかまで踏み込みたい人には、増井伸高先生の『POCTハンター 血ガス・電解質・Cr・hCG×非専門医』をおすすめします。

この本を読むと、血液ガスの見え方が少し変わります。

血液ガスを「酸塩基平衡を分類する検査」としてだけ見るのではなく、ERで来院直後に使えるPOCTの一つとして捉えるようになります。

ERでは、すべての検査結果がそろってから診断するわけではありません。

目の前の患者さんがいて、バイタルがあり、病歴があり、身体所見があり、心電図やエコーがあり、その中に血ガスがあります。

血ガス、電解質、Cr、hCG。

これらの「すぐ出る情報」を使って、どこまで安全に疑い、どこまで先に動くか。

この本は、そこにfocusした内容となっています。

特に印象的なのは、血ガスの数値をきれいに分類して満足するのではなく、来院直後の情報としてどう扱うかに重心があることです。

血ガスを一通り学んだあとに読むと、「実際の救急ではこういう使い方をすればいいのか」と視点が一段変わります。

この本の特徴

  • 血ガス、電解質、Cr、hCGをERのPOCTとして扱います。
  • 病歴、バイタル、薬歴、心電図、エコーと合わせて考える構成です。
  • 評価だけでなく、POCT後のマネジメントまで踏み込んでいます。

この本が合いやすい人

  • ERで血液ガスをよく使う人。
  • 検査がそろう前に、初期判断を迫られる場面が多い人。
  • 血液ガスを酸塩基平衡だけでなく、症候・初期診療に結びつけたい人。
そらいろメモ

この本は、完全初学者の最初の1冊というより、血液ガスをある程度学んだあとに読むとかなり刺さる本です。

血ガスを“検査値の勉強”から“救急外来の武器”に変えてくれる教材になっています。

症例で酸塩基平衡と電解質まで鍛えたい人へ

血液ガス・酸塩基平衡に強くなる

血液ガスの基本を押さえたあと、症例でしっかり鍛えたい人には、白髪宏司先生の『血液ガス・酸塩基平衡に強くなる』が候補になります。

この本は、最初の入口本というより、血液ガスと酸塩基平衡を本格的にトレーニングするための本です。血液ガスを「pH、PaCO₂、HCO₃⁻だけで読む世界」から、電解質や輸液、腎臓の世界へ広げてくれる良書です。

血液ガスは、単独で存在しているわけではありません。

Na、Cl、K、HCO₃⁻。

腎機能。

尿電解質。

輸液の種類。

利尿薬。

嘔吐、下痢、DKA、腎不全、乳酸アシドーシス。

そうした情報とつなげて初めて、血ガスは本当に臨床で使える検査になります。

この本では、「7アクション」や「ペア解析」といった形で、血液ガスと電解質を一緒に見る視点が提示されています。

読んでいただくとわかりますが、血液ガスの見え方がかなり変わります。

ただし、内容はしっかり濃いです。

完全初学者がいきなり読むと、少し重く感じるかもしれません。

むしろ、血ガスの基本を学んだあと、「もっと症例で鍛えたい」「電解質まで含めて考えたい」と思ったタイミングで読むと、かなり力になる本です。

この本の特徴

  • 症例演習を通して、血液ガスと酸塩基平衡を鍛える本です。
  • 7アクション、ペア解析で、電解質と血ガスをつなげて考えられます。
  • 輸液、腎機能、Stewart法、尿AGなど、一段深い内容まで扱います。

この本が合いやすい人

  • 血液ガスの基本は一通り学んだ人。
  • 代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、混合性障害を症例で鍛えたい人。
  • 血液ガスと電解質、輸液療法、腎臓の視点をつなげたい人。
ここに注意!

この本は良書ですが、完全な初学者がいきなり読むと重く感じる可能性があります。

血液ガスの入口本や講義本で基本の読み方を作ったあと、症例演習として使うのがおすすめです。

ICUで酸塩基平衡・電解質異常を本気で深めたい人へ

INTENSIVIST 2025年1号:酸塩基平衡,電解質異常に挑む

救急・集中治療領域で、血液ガスと酸塩基平衡を本気で深めたい人には、『INTENSIVIST 2025年1号:酸塩基平衡,電解質異常に挑む』が候補になります。

正直、初学者向けの血液ガス入門書ではありません。

ICUで遭遇する電解質異常、酸塩基平衡異常を、かなり実践的かつ専門的に扱う特集です。

読んでいて強く感じるのは、血液ガスを「分類」で終わらせないことです。

代謝性アシドーシスです。

代謝性アルカローシスです。

呼吸性アシドーシスです。

もちろん、そこまでは大事です。

でも、ICUではその先があります。

なぜこの患者でアシドーシスが起きているのか。

補正すべきなのか。

炭酸水素ナトリウムを使うのか。

アセタゾラミドはどう考えるのか。

輸液製剤が酸塩基平衡にどう影響するのか。

低Naや高Kをどう補正するのか。

Stewart法をどう位置づけるのか。

この特集は、そうしたICUで実際に悩むところに踏み込んでいます。

入門書のように一気に読むというより、臨床で困ったときに戻る本、勉強会やカンファレンスの準備に使う本、専門医試験前に整理する本、という位置づけが合います。

この教材の特徴

  • ICUの酸塩基平衡・電解質異常を実践的に扱う専門特集です。
  • 代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、Stewart法まで踏み込みます。
  • 輸液製剤、補正治療、炭酸水素ナトリウム、アセタゾラミドなど臨床判断に近い内容まで扱います。

この教材が合いやすい人

  • 救急科専攻医、集中治療専攻医。
  • ICUで酸塩基平衡・電解質異常をよく診る人。
  • 血液ガスを分類で終わらせず、治療判断までつなげたい人。
そらいろメモ

INTENSIVISTは、初学者が最初に読む本というより、臨床で何度か困ったあとに読むと刺さる本だと思います。

血液ガスを“分類”で終わらせず、電解質、輸液、腎機能、人工呼吸器、補正治療までつなげたい人にはかなり価値があります。

YouTubeで血液ガスを学ぶなら、この3つがオススメ

血液ガスの勉強では、YouTubeもかなり役に立ちます。

ただし、やみくもに検索して動画を見続けるより、まずは信頼できそうなシリーズや、臨床での考え方が整理された動画を選んだ方がよいです。

血液ガスは、動画だけで完結するというより、本やブログ記事で学んだ内容を、別の角度から復習するための補助教材として使うのが合っています。

ここでは、血液ガスの学習に使いやすいYouTube教材を3つ紹介します。

呼吸器ドクターひつじ先生|新人ナースでも読める血液ガスの解説動画

まず、最初の導入としてかなりおすすめしやすいのが、呼吸器ドクターひつじ先生の血液ガス解説動画です。

新人ナース向けの動画ということもあり、かなり初歩的なところから解説されています。

血液ガスを勉強しようとすると、どうしてもpH、PaCO₂、HCO₃⁻、酸素化、換気、代償といった言葉が一気に出てきます。

医師向けの本では、このあたりがある程度分かっている前提で話が進むこともあります。

その点、ひつじ先生の動画は「そもそも血液ガスをどう見ればよいのか」という導入として見やすいです。

特に、血液ガスを初めて学ぶ看護師さん、ER/ICUに配属されたばかりの方、あるいは医学生・初期研修医が最初に全体像をつかむ目的で見るのに合っています。

また、ひつじ先生のYouTubeでは、血液ガスだけでなく、人工呼吸器や呼吸管理に関する分かりやすい動画も多くあります。

血ガスを単独で学ぶというより、呼吸管理や人工呼吸器とつなげて理解したい人には、チャンネル全体としても使いやすいと思います。

この動画の特徴

  • 新人ナース向けで、血液ガスをかなり初歩から解説しています。
  • 本を読む前に、血ガスの全体像を動画でつかみやすい内容です。
  • ひつじ先生のチャンネルでは、血液ガス以外にも人工呼吸器・呼吸管理の動画が学べます。

この動画が合いやすい人

  • 血液ガスを本当に初歩から学びたい人。
  • 新人看護師、ER/ICU配属直後の看護師。
  • 本格的な血ガス本に入る前に、動画でざっくりイメージをつかみたい人。
そらいろメモ

「血液ガスが苦手」という人ほど、最初から医師向けの難しい酸塩基平衡の話に入らない方がよいことがあります。

新人ナース向けの動画は、逆に初歩を抜けなく確認できるので、医学生や初期研修医の復習にも使いやすいです。

血液ガス分析 マスター講座

次におすすめしたいのが、血液ガス分析をシリーズで学べる「血液ガス分析 マスター講座」です。

このプレイリストの良いところは、酸塩基平衡だけに偏らず、血液ガスを体系的に学べるところです。

血液ガスというと、どうしてもpH、PaCO₂、HCO₃⁻、アシドーシス、アルカローシスに目が行きがちです。

でも実際には、血液ガスで見るべきものは酸塩基平衡だけではありません。

酸素化。

換気。

酸塩基平衡。

乳酸や電解質。

これらを一つずつ整理して、患者さんの病態とつなげる必要があります。

その意味で、シリーズ形式で順番に見られる教材は、初学者にかなり向いています。

本で読んだ内容を、動画で復習する。

あるいは、ブログ記事で基本の型を確認したあと、動画でイメージを補う。

そういう使い方をすると、血液ガスへの苦手意識がかなり下がると思います。

この動画シリーズの特徴

  • 血液ガスをシリーズ形式で体系的に学べます。
  • 酸塩基平衡だけでなく、酸素化や換気も含めて整理できます。
  • 本やブログ記事で学んだ内容を、動画で復習する補助教材として使いやすいです。

この動画シリーズが合いやすい人

  • 血液ガスを動画で体系的に学びたい人。
  • 酸塩基平衡だけでなく、酸素化や換気も含めて整理したい人。
  • 本だけだとイメージがつかみにくい初期研修医・看護師・ER/ICUローテ前の医療者。
POINT

血液ガスは、酸塩基平衡だけに寄せすぎると、酸素化や換気の理解が抜けやすくなります。

このようなシリーズ動画は、「血ガスで何を見るのか」を広く整理する補助教材として使いやすいです。

腎臓内科医が解説|血液ガス分析の解釈をマスターしよう

もう一つ、単発動画として紹介しやすいのが、腎臓内科医アサモリ先生の「血液ガス分析の解釈をマスターしよう」です。

血液ガスは、救急・集中治療だけのものではありません。

酸塩基平衡を理解するうえでは、腎臓の視点がかなり重要です。

肺はPaCO₂を通じて酸塩基平衡に関わります。

腎臓はHCO₃⁻や酸の排泄を通じて、より時間をかけた調整に関わります。

つまり、血液ガスを本当に理解しようとすると、呼吸だけでも、腎臓だけでも不十分です。

この動画は、腎臓内科医の視点から血液ガスの解釈を整理できる点が魅力です。

特に、酸塩基平衡が苦手な人にとっては、「肺と腎臓がどう役割分担しているのか」を意識しながら復習できるのが良いところです。

この動画の特徴

  • 腎臓内科医の視点から、血液ガス分析を整理できます。
  • HCO₃⁻、代謝性アシドーシス、代償などを理解する補助になります。
  • 血液ガスを肺と腎臓の両方から考えるきっかけになります。

この動画が合いやすい人

  • 酸塩基平衡を腎臓の視点から整理したい人。
  • HCO₃⁻や代謝性アシドーシスの理解を深めたい人。
  • 本で読んだ酸塩基平衡を、動画でもう一度復習したい人。
POINT

血液ガスは、肺と腎臓の共同作業として見ると理解しやすくなります。

PaCO₂だけでなく、HCO₃⁻、代償、腎機能、電解質まで意識できると、酸塩基平衡の見え方がかなり変わります。

YouTubeは「分かった気」で終わらせない

YouTubeは、血液ガスのイメージをつかむにはとても便利です。

ただ、動画を見るだけでは、実際の症例を読めるようにはなりにくいです。

動画で全体像をつかんだら、必ず実際の血液ガスデータや症例問題で手を動かすことをおすすめします。

pHを見る。

PaCO₂を見る。

HCO₃⁻を見る。

乳酸を見る。

酸素化を見る。

代償を考える。

最後に患者さんに戻る。

この作業を自分で繰り返すことで、動画で見た知識が臨床の判断につながっていきます。

ここに注意!

動画はあくまで補助教材です。

血液ガスを本当に読めるようになるには、動画でイメージを作ったあと、症例で実際に考える練習が必要です。

結局、どれを買えばよいか

かなり現実的にまとめます。

血液ガスが本当に苦手な人

最初の候補は、『世界でいちばん簡単に血ガスがわかる、使いこなせる本』です。

血液ガスへの苦手意識を減らし、「まず順番に見れば読める」という感覚を作るのに向いています。

理屈から納得したい人

『Dr.大塚の血液ガスのなぜ?がわかる』が合いやすいです。

酸素化、換気、酸塩基平衡を、なぜそう考えるのかから整理できます。

一人で問題を解きながら定着させたいなら

『Dr.大塚式4ステップ診断法でマスターする 血液ガスドリル』が合いやすいです。

4ステップで順番に考えながら、間違えた理由まで確認できるので、初学者の独学に向いています。

初期研修医・若手医師が最初の1冊を選ぶなら

『竜馬先生の血液ガス白熱講義150分』がかなりよい入口になります。

短時間で血液ガスの全体像をつかみ、臨床で使う意識を持ちやすいです。

問題演習で一段深めたいなら

『帰ってきた 竜馬先生の血液ガス白熱講義22問』です。

講義で作った型を、実際に問題として使う練習ができます。

ERで血ガスを初期対応に使いたいなら

『POCTハンター』です。

来院直後の血ガス、電解質、Cr、hCGを、初期判断とアクションにつなげる視点が得られます。

症例で酸塩基平衡と電解質まで鍛えたいなら

『血液ガス・酸塩基平衡に強くなる』です。

症例を通して、血液ガスと電解質、輸液、病態推論をつなげる力を鍛えられます。

ICUで本気で深めたいなら

『INTENSIVIST 2025年1号』です。

酸塩基平衡、電解質異常、補正治療、輸液製剤の影響まで、ICUの実践に近いレベルで学べます。

動画で最初のイメージをつかみたいなら

まずは、呼吸器ドクターひつじ先生の新人ナース向け動画が見やすいです。

その後、血液ガス分析マスター講座で体系的に復習し、酸塩基平衡をもう少し深めたくなったら腎臓内科医アサモリ先生の動画を見る、という流れがよいと思います。

血液ガスの学び方:おすすめの順番

個人的には、血液ガスの勉強は次の順番がよいと思います。

  1. まず苦手意識を減らす
    ひつじ先生の新人ナース向け動画や、力丸先生の本で、血液ガスへの心理的ハードルを下げる。
  2. 読み方の型を作る
    竜馬先生150分やそらいろドクター血液ガス入門記事で、pH、PaCO₂、HCO₃⁻、酸素化を順番に読む感覚を作る。
  3. 理屈を補強する
    Dr.大塚本腎臓内科アサモリ先生のyoutubeで、酸素化、換気、酸塩基平衡、腎臓の役割を整理する。
  4. 初学者はドリルで確認する
    Dr.大塚式4ステップ血液ガスドリルで、どこまで分かっていて、どこで判断がずれたのかを確認する。
  5. 問題でさらに手を動かす
    竜馬先生22問や症例演習で、実際に自分で考える。
  6. ERで使う視点を入れる
    POCTハンターで、来院直後の血ガスを初期対応につなげる。
  7. ICU・電解質・輸液まで深める
    血液ガス・酸塩基平衡に強くなるINTENSIVISTで、酸塩基平衡と電解質を深掘りする。

血液ガスは、ただ本を読むだけでは身につきにくいです。

大事なのは、実際の症例を見たときに、手を動かして読むことです。

pHを見る。

PaCO₂を見る。

HCO₃⁻を見る。

乳酸を見る。

酸素化を見る。

代償を考える。

そして、最後に必ず患者さんに戻る。

この流れを何度も繰り返すことで、血液ガスは少しずつ読めるようになります。

このブログで補っていきたいところ

本や動画教材で血液ガスの全体像を学んでも、実際のER/ICUでそれを使いこなすには別の難しさがあります。

実際には、患者さんのバイタルサイン(呼吸数、意識、循環)や臨床経過(尿量、感染症の有無、腎機能、薬剤、人工呼吸器設定、治療)とつなげて読む必要があります。

ここが、教科書だけでは少し埋まりにくい部分だと思います。

このブログでは、まず血液ガスへの入口記事として、初学者向けに「読み方の基本型」を整理しています。

そして、さらに実践的なnoteでは、より現実に即したCaseを学びながら、血液ガスをどう読み、どこで患者さんに戻り、どのように次の一手につなげるかを扱っています。

本で知識を入れる。

ブログで効率的に読み方の型を確認する。

動画でイメージを補う。

実践note記事で症例ベースの演習を通して、知識を実際の臨床現場で使う感覚を養う。

皆様の学びの選択肢の一つとなる本当に価値のある教材となるよう、これからも継続的なアップデートを続けていきたいと思います。

実践編ではここまで扱います

ブログでは、血液ガスを学ぶための本と学習順を整理しました。

実践編noteでは、実際のER/ICUで遭遇しやすい架空症例を使いながら、血液ガスをどう読むかを一緒にたどります。

代謝性アシドーシス、呼吸性アシドーシス、アルカローシス、混合性障害などを、単なる分類ではなく、患者さんの病態と次の一手につなげて解説する予定です。

まとめ

血液ガスの勉強は、教材が多いぶん、最初の一歩で迷いやすい領域です。

ただ、どの本が一番優れているかを決めるより、自分の現在地に合った本を選ぶ方が大切です。

血液ガスが苦手なら、まず動画や入門本で怖さを減らす。

研修医として型を作りたいなら、講義本で全体像をつかむ。

症例で鍛えたいなら、問題演習に進む。

ERで使いたいなら、POCTとしての血ガスを学ぶ。

ICUで深めたいなら、酸塩基平衡と電解質異常まで踏み込む。

血液ガスは、ただ分類する検査ではありません。

患者さんの呼吸、循環、代謝、腎臓、電解質、治療反応を読むための入口です。

最初は難しく感じても、読み方の型を作り、症例で反復すれば、少しずつ見え方が変わってきます。

さらに実践的に学びたい方へ

無料記事では、血液ガスを学ぶための参考書と学習順を整理しました。

実践編noteでは、架空症例を使いながら、血液ガスをどの順番で読み、どこで患者さんに戻り、どのように病態を考えるかを詳しく解説する予定です。

実践編noteは公開後にリンクします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました